もう一度だけ、キミに逢いたい。
「伊織くん…。綺麗な名前だね。私は光。鈴木 光。一応この子の姉」
眠っている少女に優しい目を向けながら答える彼女…いや、光さん。
それにしても、自己紹介をして綺麗な名前だと言われたのは初めてだった。
さっきからずっと思っていたが、光さんはとても不思議な人だ。
俺の心の中を見透かしていたり、俺自身も気付いていなかったことに気づいたり。
さっきは一瞬怖いと思ってしまったが、こうやって話してみると、他の人に話せないようなこともこの人になら話せてしまうような気がした。
「姉妹なんですね。そう言われれば確かに雰囲気が少し似ているような…」
…顔が整っているところ、とは言わなかった。
まだ知り合ったばかりなのに、それはあまりにも不躾すぎるから。
「……血は、繋がっていないんだけどね」