もう一度だけ、キミに逢いたい。
……っっ。
俺はその表情を見て、何故だか胸がキュッと締めつけられたような感覚がした。
「……っ、また、“あの悪夢”を見ているの……?」
光さんは先程と同様、とても悲しそうな、そして苦しそうな顔をしながら、少女を抱いている腕の力を少し強めた。
光さんのその言葉が俺に向けられた言葉ではないと分かっていても、反射的に反応してしまった。
「あ、“あの悪夢”……?」
「……ああ。この子、ゆりちゃん……正確には友梨乃って言うんだけどね、家族を全員亡くしてるの」
俺の問いかけに静かに答える光さんの声が、やけに頭の中に響く。
……っ、家族を全員亡くしてる……。
その言葉で全てがしっくりきた。
ゆりという少女が幸せという言葉にあんなに過剰に反応したわけも、光さんが少女の姉だと自己紹介したわけも。