もう一度だけ、キミに逢いたい。
「ちょっ……何するんですか……っ!離してください!」
「離すわけないじゃん。大体、呼び出されたからって、こんな体育館裏に来るのが悪いよね?」
「く……っ、」
彼女は必死に手を振り解こうとしているけど、女の彼女が、男の力に敵うわけがない。
そのまま男は彼女の顔に自分の顔を近づけてキスしようとしている。
その瞬間、俺の怒りは頂点に達した。
「……そこの先輩。何してるんですか?」
今までになく、地を這うような低い声が出た。
「何って見ての通りだけど」
まるで何でもないというようにサラッと言ってのける男。
……こいつ、マジでありえねぇ。
彼女がいなかったら、俺、こいつのこと殺してたかも。
「ふーん…でも、やめてあげたらどうですか?その子、嫌がってますよ?」
顔が引き攣るのを感じながらも、敬語は崩さない。