もう一度だけ、キミに逢いたい。
彼女はそれだけ言って慌てて俺から離れた。
その顔は寂しそうな、悲しそうななんとも言えない表情だった。
メガネで目がよく見えなくても、分かる。
……っ、違う。
俺はキミに、そんな顔をしてほしいわけじゃないんだっ…
そう言いたくても言えなくて、結局出てきたのは全然違う言葉。
「あ、いや、そういう意味で言ったんじゃないんだ…。ただ、嫌がられると思ったから…」
そう言った直後、彼女の表情を見て思う。
……ああ。
俺は何も変わっていない、あの時から…
光さんが自分にしてくれたみたいに、今度は自分が彼女に寄り添う番だ。
心の中ではそう思っているのに、やっていることは正反対。
俺は、あの時と同じように彼女に悲しい顔ばかりさせている。
今更ながら、俺の手で彼女を笑わせることができるのか……不安で不安で仕方がない。