もう一度だけ、キミに逢いたい。
元々夏樹とはすごく仲がいいわけでもなかったけど、母さんが亡くなってからはいつも二人で頑張ってきたし、何よりもたった一人の弟だから。
そんなことを考えながらぼんやり空を眺めていると、ギィーと屋上の扉が開く音がして振り返った。
「……月島くん。遅くなってごめんなさい。待った?」
「……そんなに待ってないから気にすんな」
学校ではほとんど笑わない俺だけど、友梨乃を前にすると自然と笑みが溢れる。
「……あの、お話というのはなんでしょう?」
……なんとも感情の読めない声と瞳。
確かに、無表情で何を考えているのか分からないから近づきにくいと噂されるだけのことはある。
そして、俺と二人きりになってもそれは変わらない。
だけど、それでもそんな彼女も愛しいと思う。