もう一度だけ、キミに逢いたい。
じっと俺の顔を見つめてくる友梨乃を、俺も真っ直ぐ見つめ返す。
そして、ゆっくりと口を開いた。
「………俺、友梨乃のことが好きだ」
暖かい風がサアッと俺達の間を駆け抜けていく。
まさか告白されるなんて予想もしていなかったのか、俺を見つめる友梨乃の瞳がひどく困惑気に揺れていた。
…っ、分かってる。
これは想定内の反応だっ……
「……どうして、」
やがて声を発したかと思えば、その声はとてもか細く、弱々しいものだった。
「どうして、わたしのことが好き、なの……?」
……どうして、か。
友梨乃のその質問から察するに、やはり五年前に逢ったことは覚えていないのだろう。
それに、どうしてって言われても明確な理由なんかない。
……ただ、キミの瞳に、キミの涙に、魅せられたことには違いないんだ。