もう一度だけ、キミに逢いたい。
* * *
「伊織〜、こっちこっち」
ガヤガヤと大勢の生徒で賑わっている食堂をキョロキョロ見渡すと、隅の方で手を大きく振っている玲音を発見。
……すごく分かりやすくて助かるっちゃ助かるけど。
あいつ、自分が目立ってることに気付いてんのか?
俺が言えたことじゃないが、食堂にいる女子の三分の一くらいは玲音を見てコソコソと何か言っている。
まああいつもあいつでそこそこ女子に人気あるから、別に珍しい光景ではないにしても、やっぱりたくさんの視線を集めるのは好きじゃない。
「伊織、顔が不機嫌だぞ」
俺が盆を机の上に置くと、玲音が自分の眉間を指しながら苦笑いしている。
「……だって視線が鬱陶しい。特に女子からの」