もう一度だけ、キミに逢いたい。
「…?俺達に何か用?」
何も言わない俺に代わり、少し怪訝そうに玲音が尋ねる。
すると、女子は少し言いにくそうにしながらも、口を開いた。
「え、えっと…その…。体育館裏で、す、鈴木さんがい、いじめられててっ…。それで、つ、月島くんがどうのこうのって言ってたんですっ…」
……ゆりが、女子にいじめられている……?
俺は、その女子の言葉を理解するのに数秒かかったが、理解したと同時に周りの目も気にせずガタンと音を立てて立ち上がると、体育館裏に走り出す。
背後で玲音が伊織!と俺の名前を呼ぶのを無視して。
なんでゆりがいじめられていることを俺に言ってきたのか。
もしかして、俺がゆりを好きなことを知っているのか。
あの女子に対して疑問に思うことはいくつかあったけど、今の俺にとってそんなことはどうでもよかった。