もう一度だけ、キミに逢いたい。
……ゆり。
俺はそばに落ちているゆりのメガネを拾って服のポケットに入れると、ぐったりしているゆりをお姫様抱っこにした。
すると、今まで顔を覆っていた前髪がサラリと流れてゆりの顔が露わになる。
その瞬間、この状況を理解できずに固まっていた女子三人が息を飲んだのが分かった。
……そりゃ、そうだろう。
この目の前の女子達に叩かれたのか、頬に青紫色の痣ができているが、それでも俺の腕の中で目を閉じるゆりは、まるで天使のようだった。
その時、ゆりが一瞬顔を苦しそうに歪めた。
…っ……
ごめんっ…ゆり……
俺はゆりの頬の痣に一つキスを落とすと、目の前の女子三人を思いっきり睨みつける。