もう一度だけ、キミに逢いたい。
【21.】ゆりちゃんと伊織くん
【光side】
『わたし……嫌がらせしてくる人と直接話す』
そう言ったゆりちゃんの瞳はどこまでも真っ直ぐで、反対することなどできなかった。
悩んで悩んで悩み抜いて決めたのがこの結果なのだろうから。
悪い言い方をすれば、今までゆりちゃんはできるだけ壁に打ち当たらないように、傷つかないように、自分を守ってきた。
それは多分、傷つくのが怖かったのはもちろん、自分が傷ついてまでほしいと思えるものがなかったから。
いつも私のことばかりで、光ちゃんがいればわたしはそれでいいの、が口癖だったゆりちゃん。
そんなゆりちゃんが、初めて求めたもの。
それが、彼……
───……伊織くんの温もりと心。