もう一度だけ、キミに逢いたい。

『わたしはただ……伊織くんのそばにいたい。伊織くんが……好き、だから』




あの言葉を聞いた時、あの“出来事”があってから約七年。


一番嬉しかった瞬間だった。




私もゆりちゃんのことが大好きだったから、私がいてくれればそれでいいって言ってくれるのが嫌だったわけじゃない。


でも、ゆりちゃんの小さいころの夢を知っていた私は、正直すごく複雑な気持ちだった。




“将来は世界で一番大好きな人と結婚する”


女の子なら誰もが一度は憧れるような、そんな素敵な夢。


私は昔から何故だかそういうのには興味がなかったし、今現在もないけど、こんな私だからこそ、ゆりちゃんにはその夢を叶えてほしいという想いは強かった。




……だけど。


その夢を叶えるのがすごく難しいのも現実だった。

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