もう一度だけ、キミに逢いたい。

ゆりちゃんは学校では誰とも関わらないようにしている。


だけれど、伊織くんのそばにいれば、伊織くんの心に触れれば、ゆりちゃんはきっと彼に少しずつ心を許していく。


七年もゆりちゃんといるんだ、それくらい簡単に予想はつく。


それに、ゆりちゃんの上辺しか見ない人達と伊織くんは似ても似つかなかったし、何より、ゆりちゃんに無償の愛を向けていたから。




“ただ好きだから、そばにいたい”


彼が想っているのはそれだけだった。


ゆりちゃんが好きという気持ちだけではそばにはいられないと言った私だけど、一概にそんなことはないのかもしれない、とも後から少し思ったくらいだ。




……だけど、私が七年ゆりちゃんのそばにいて、ゆりちゃんの背負うものの大きさに、想いにものすごく苦しんだのも変わりない事実。

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