もう一度だけ、キミに逢いたい。

保健室ってどこだっけ…?


うろ覚えの記憶を必死に手繰り寄せ、校内を小走りする。


あ、あったあった…


ホッとしたのも束の間、息を整えるように一つ深呼吸をして気持ちを切り替える。




コンコン


「失礼します」


「はーいって……お姉さん?早かったですね…!」


少しびっくりしたようにこちらに駆け寄ってくる清田先生。


「いえ、大学から全力疾走してきたのでっ…。それより、ゆりちゃんは…?」


「鈴木さんなら、この前と同じ一番奥のベッドに寝かせてます…」


清田先生はそう言ってゆりちゃんのところまで案内してくれた。




「…!伊織、くん……」


「あら……彼とお知り合いなんですか?」


私が伊織くんの名前を呼んだからだろう。


先生は不思議そうに首を傾げている。

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