もう一度だけ、キミに逢いたい。
「…ええ、まあ……」
伊織くんはベッドに眠るゆりちゃんの手を握って、ベッドに頭を預けたまま寝息を立てていた。
一方のゆりちゃんはぐったりしていて顔色が悪い。
「…っ、ゆりちゃん、頑張ったね……っ」
私は唇をキュッと引き締めて優しくゆりちゃんの頭に触れる。
……ごめんね、と想う気持ちもあるけれど。
それをわざわざ言うのは、ゆりちゃんの覚悟を踏みにじることのような気がしたからっ…
その言葉はグッと飲み込んだ。
「……お姉さん、鈴木さんを連れて帰る前に少しお時間はありますか?」
カーテンの外から覗く先生の真剣な顔に、私は反射的に頷いた。
「…はい、大丈夫です」
それに、むしろ出来る限りでいいから、ゆりちゃんが暴走した経緯を知りたかった。
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