もう一度だけ、キミに逢いたい。



ねえ、知ってる?

ないものを数えるより、

あるものを数えた方が

幸せになれるんだよ……───




……今ならあの時の“キミ”の言葉、少し分かる気がするよ。


名前も年も分からない、顔さえもはっきり覚えていない“キミ”。


でも“キミ”は、わたしの頭の片隅に、いつも存在してる。




「……どうか、一日も早く、彼がゆりちゃんを見つけてくれますように……」




ポツリと光ちゃんが小さく呟いた声は、わたしには聞こえなかった……




「…光ちゃん、何か言った…?」


「……ううん、何も。それよりゆりちゃん、夜ご飯食べよ?私、お腹空いた」


「あ、そうだね!」




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