もう一度だけ、キミに逢いたい。
さすがにそんなわけなかったか…
…はあ。
誰にもバレないようにそっとため息をつく。
その日は、授業中も先生の話をなんとなく聞き流していた。
「…い、おい、鈴木、聞こえてえるか?」
気づけば数学の先生がわたしの名前を呼んでいた。
「……はい、なんでしょう?」
「お前にしては珍しくぼーっとしていたぞ。ほれ、眠気覚ましにこの問題を解いてみろ」
「……はい、分かりました」
短く返事をして、黒板の前まで行く。
だけど、わたしは返事とは裏腹に、内心は正反対のことを思っていた。
……なんでわたしが問題を解かなきゃなんないのよ。
それに眠気覚ましって、わたし、別に眠くないんだけど。