もう一度だけ、キミに逢いたい。
俺に、恋を教えてくれたゆり。
俺に、もう一度勉強をする理由を見出してくれたゆり。
俺に、夏樹と仲直りをするきっかけをくれたゆり。
ゆりはいつでも俺を、光りの方へと導いてくれた。
だけど……その一方で、ふと見せる表情はどこか儚げで弱々しくて……、纏うその雰囲気と小さな身体は、今にも遠くに飛んでいって消えてしまいそうだった。
───………“天使”。
他の人がどう思うかは分からないけど、少なくとも俺の目にはそんな風に映っていた。
さっきの話を聞いても、ゆりが悪魔の子だなんて到底共感できない。
…いや、できるはずがないんだ。
「……クスッ。やっぱり、私の思った通り。というか、予想以上。きみは……どこまでもきみだね。苦しんで苦しんで苦しみながらも、誰かに流されることなく、自分を貫くことができる。誰の色にも染まらない」