もう一度だけ、キミに逢いたい。
「ああ。…友梨乃、これを見ろ」
「え…?」
身長差のある伶くんを見上げるように顔を上げると、
「…花……?」
すぐ隣の秋くん手に握られた一輪の花が目に入った。
色が青白くてどこか幻想的で、この真っ黒な暗闇にもよく映えている。
色が色なだけに、形も今までに見たことがない形をしていた。
花に詳しくないわたしは当然名前も分からない。
「この花に…何か、あるの……?」
「……この花は、友梨乃の命そのものだ。つまり、この花が咲いている限り、友梨乃は死なない、元の世界に戻ることができる」
え……
「だが、逆を言えば、この花が枯れてしまえばその時は本当に死んでしまう。でもまあさっきも言ったが、友梨乃が伊織ってやつに逢いたい、死にたくないって強く想う限り、枯れることはない」
とても真剣な瞳でそう言う伶くんと秋くんが嘘を言っているようには見えない。