もう一度だけ、キミに逢いたい。

えっと…それって、“大好き”ってもう一回言ってほしいってこと…?


またもや泣きそうな顔でわたしの顔を覗き込んでいる伊織くんの頬にわたしはゆっくりと手を伸ばすと、そっと涙の後に触れた。






「……大好き。わたし、伊織くんのことが、世界で一番大好き」






やっと、ちゃんと口が動いた。




キミが望むのなら……ううん、望まなくても、何度だって言うよ。


わたしが負った心の傷はとても大きかったけれど、それを癒してくれたのは間違いなく光ちゃんと、伊織くん、だから。


それに、伶くんや秋くん達からもわたしは勇気をもらった。


伊織くんを好きな気持ちを大切にしろって。


そう、言ってくれた。


だから、わたしは自分の気持ちに素直になる。


もう、誤魔化したり、逃げたりしない。






「ゆりっ……!!ゆり、ゆり、ゆりっ……愛してるっ……。12年前からずっとずっと……っっ」


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