もう一度だけ、キミに逢いたい。

光ちゃんみたいに、ちゃんと人の内側まで見てる人もいる知っているのに。


つまりは、都合の悪いものは見ないようにしてるってこと。


これは言い訳だけど、わたしは常に、そうでもしないと生きていけないギリギリのラインにいるんだ…





そんなことを考えていると、突然何かが優しくわたしの頭に触れた。


「……ありがとな」

「え……?」




「ありがとな、ゆり。俺はまたキミに助けられたな……」




そう言って懐かしそうに目を閉じる月島くん。


その間も彼の手はわたしの頭の上に触れたまま。


…またってどういうこと……?


わたしは今でさえ彼を助けるようなことをした覚えはないけど、“また”と言われるほど前に何かした記憶もない。

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