もう一度だけ、キミに逢いたい。

……わたし、もしかして大事な何かを忘れてる……っ?


だけど…忘れてるって一体何を……?


分かんないよっ……


でも…でも…彼のあの懐かしそうな表情に、何かが引っかかたんだっ……




「光ちゃん……っ」


何を忘れてるのか分からなくて、怖くて、無意識に光ちゃんの名前を呼ぶ。


すると、ほんの少し間があいて、低くて心地の良い声にわたしの名前が呼ばれる。




「………ゆり」

「……っ…」


「……ゆり、おいで?」


もう一度、名前を呼ばれた時、おそるおそる彼の方に視線を移す。


途端、わたしは泣き崩れた。




彼があまりにも優しく、愛おしいものを見るような目でわたしを見ていたから。


いつもわたしを一番に考えてくれる光ちゃんとどことなく重なった。

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