もう一度だけ、キミに逢いたい。

なんだ、それだけか、と思いつつも、彼の頼みを断れない自分もいた。




「……伊織くん」




気づいたら、躊躇いもなく自然とそう言っていた。


すると、彼は少しだけ目を見開いたが、やがて嬉しそうに微笑んだ。




その顔にちょっぴり胸が高鳴ったのは、多分気のせい……だと思う。


この日から、わたしの中で彼は、月島くんから伊織くんへと変わった。