もう一度だけ、キミに逢いたい。
気づけば彼のことを考えてしまうんだ。
…それもこれも伊織くんのせい。
厳密に言えば、伊織くんではなくてわたしのせいだけど。
……伊織くんと放課後二人で会うと決めた時、わたしが最も恐れていたこと。
それは……
“彼に心を許してしまうこと”
絶対にそんなへまはしないと決めていたけどわたしの意思とは逆に、わたしは彼に心を許してしまった…
彼の温もりに安心したこと。
長時間二人きりで同じ空間にいても、嫌悪感を感じなかったこと。
彼の前で泣くことに抵抗感を感じなかったこと。
彼の笑顔を好きだと感じたこと。
彼を名前で呼ぶようになったこと。
これだけ条件がそろえば、わたしは彼に心を許してしまったと認めざるを得なかった。