Limited-lover



目の前に柔らかい微笑み。

安心からなのか、嬉しさからなのかわからないけれど、それだけで鼻の奥がツンとしてキスを受け入れるべく伏せた瞼が熱くなる。

唇が触れ合い、そっと離れ、また塞がれる。


一つ一つが優しくて、甘くて。
ふわふわと気持ちがほぐれて行く…


…やっぱり『帰りたい』って思ったのは取り消し。
帰らなくて良かった。
良いよ、わずか4日目だって。
宮本さんと居たいから。

繰り返すうち、少しずつ深くなるキスに鼓動が期待で高鳴って息苦しさを感じる。握られている手をギュッと握り返したら、宮本さんがおでこをこつんとくっつけた。


「…もう、布団、入る?」


優しく静かにそう言われ、ただ、コクンと頷いた。



……やっぱりこれで良かったんだ。
私…4日目だけど、宮本さんと……






………………一緒にゲーム?



いや、この場合、ゲームは宮本さんがしていて、私はその画面を見ているって表現の方が正しいかも。

「麻衣、なんか落ちそう」とシングルベッドの奥に入れられ、背中からクルリと私を腕におさめると、そのままゲーム機を立ち上げてゲームを始めた宮本さん。


えっと…こ、これは……一体。


軽快に流れるゲームのBGMに、どう考えても色気のある雰囲気は無い。


でも、私は宮本さんの腕の中で、足も絡み合ってる。


『試してみますか?』
『うん。』


……こ、これは、もしかして本当に抱き心地を確かめているのでは。

ええ~……そんなことって…ある?

そりゃ私、大した色気はないけど… いい大人が二人で一つの布団に入っているわけだからさ…


『俺、今新作のゲームにすっごいハマってて』


そ、そうだ、さっきお店でそう言ってた!


きっと、ゲームのキリの良いところまでやらないと、事に集中出来ないのかも。じゃあ…私は大人しく待っていれば…


…と、思ったけれど、大分待っても、ゲームの終わる気配は無い。


どうしよう…さっきから同じ様な音ばっかり聞いてたから、眠気が…。
相変わらず私を包んでくれている宮本さんの腕と足。
緊張や心配の後、安堵を貰ったからだろうか、余計に心地良い疲労感を感じる今。その温もりが気持ちよくて、余計に微睡みに誘われる。


…ダメだ、もう。
宮本さん…ゲーム終わったら起こしてくれて平気なんで……少しだけ寝かしてください………



そこで、完全に眠りに落ちた。



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