Limited-lover
Fifth day
.
…包まれている身体が温もりと安心を感じて、ふわふわと心地良い。
とても深い眠りに落ちていたのかもしれない。意識が蘇ったけれどまだ不鮮明な頭の中。温かさが気持ちよくて、 そのままに少しだけ瞼を押し上げた。
目の前にのど仏。
そこから繋がる鎖骨や肩が、一定のリズムで呼吸を繰り返し動いている。
「………。」
…周囲が明るい。朝…かな。
あ、さ……
………朝?!
そこで一気に目が覚めた。
え?ちょ、ちょっと待って?
な、何も無かった…って事…?
グルンと私を抱き寄せ包み込んでいる宮本さんの腕と足。
でも…宮本さんにお借りしたスウェットは昨夜と一糸乱れぬまま。
こ、これは……本当に、『抱き心地』をお試しされた…だけ……
ベタだけど、思った。
“がーん”って。
私…そこまで色気が…無い?
こうやって密着していても尚、その気にならないほど…女子としての魅力が薄いって事?
『あれならいつ告白しても付き合って貰えるって!』
「………。」
何となく受付嬢さんの言葉が思い出され、急激に悲しくなって、目頭が熱くなる。
…起きよう、とりあえず。
何とか、涙を堪えて宮本さんの腕の中から逃れようと動いた。
…けれど。
「…何、もう朝?」
眉間に皺を寄せながら、「ん…」と少し悩ましげな声を出した宮本さんが私を抱き寄せる。それから、目を瞑ったまま、鼻をすり寄せ、唇同士を軽くくっつけた。
「…もっと寝たい。」
そのまま、またスースーと寝息を立て始める。
「………。」
だ、抱き心地としては、合格だったのかな…。
私も宮本さんの背中の方にそっと手を回した。それに応える様に、宮本さんがより私を引き寄せる。
…まあ、いいか。
こうやって腕の中に閉じ込めてくれているだけでも、幸せだから。
~♪~♪…
不意に私のスマホのアラームが鳴り出した。
…そっか、毎日鳴るように設定してあったっけ。
という事は、もう支度して出勤しなければいけない時間…。
宮本さんを抱き寄せる手を外したら、モソモソと宮本さんの手も動き出す。
その丸い指が私の髪を通って頭を引き寄せた。
「…もう起きる時間?」
「は、はい…そろそろ起きて支度をしないと。」
「そっか…」
ゆっくりで掠れた声。
それが甘えた様な声色に聞こえて、可愛い。
なんて思っていたら、パクリと唇を塞がれた。
チュッと言うリップ音がして、もう一度…塞がれる。
「ん…っ」
何度目かのキスの狭間に、『宮本さん…』と名前を呼ぼうとした声を掬い取られ、吐息に変わった。
途端、更に頭を強く抑えられて、より深いキスへと変化する。
唇を割り開き、口内に入って来た舌が、私のを絡め取り、そのまま、強く唇を塞がれた。
生暖かさと柔らかさが口内を支配し、身体の奥が熱くなる。
思わずギュウッと宮本さんの腕を掴んだ。
それに反応するかの様に、一度唇が離れ、宮本さんの甘い吐息が湿り気を帯びた唇にかかる。
「あ、あの…んんっ」
すぐにまた、一度パクリとキスをされ、唇が塞がれた。
生暖かい舌の絡む感触に
優しく髪を滑る掌の感触に
気持ちがギュウッと掴まれる。
…ずるい。
何も手出ししなかったくせに、こんなキスをして。
こんな風にされたら…もっと宮本さんと居たいって…触れて欲しいって思ってしまうのに………
「…今日も、来る?ここ。」
暫くして、宮本さんはキスをやめておでこをこつんとつけた。
息荒い私をよそに、宮本さんは、寝起きのトロンとした目で、くふふと笑う。
「今日さ、11時出勤で、昼休みに昼寝出来そうに無いから。夜抱き枕がいいわけ、俺は。」
「で、でも…さすがに二日連続家に帰らないのは…」
「一旦帰ったら?支度して待ってて。車で迎えに行く。」
再び私を腕と足で捕らえ、抱き寄せた。
おでこは…くっつけたままで。
「……返事は?」
「えっと…んん…っ」
今度は少し乱暴なキス。
角度を変えて、吐息すら掬い取る様に、何度も塞がれる。
「『ハイ』って言わないなら、11時の出勤までこのまま付き合って貰うけど。」
目を見開いた私に、少しだけ向けられた好戦的な目と、綺麗な三日月の唇。
「残念だったね。ここ、俺んちだから。俺のテリトリーなんで、俺がルール。」
そんな笑みを浮かべながら、また、キス。
「麻衣、返事。」
…本当にずるい。
きっとわかってるんだ、宮本さんは。
甘く、それでいて威圧的な、優しい声に、私があらがえないって。
「…はい。」
返事をした瞬間に、『いーこ』とばかり満足気に鼻をすり寄せて
「…もう少しだけ寝かせて。」
そう言って再び目を閉じ寝息を立て始めた。
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…包まれている身体が温もりと安心を感じて、ふわふわと心地良い。
とても深い眠りに落ちていたのかもしれない。意識が蘇ったけれどまだ不鮮明な頭の中。温かさが気持ちよくて、 そのままに少しだけ瞼を押し上げた。
目の前にのど仏。
そこから繋がる鎖骨や肩が、一定のリズムで呼吸を繰り返し動いている。
「………。」
…周囲が明るい。朝…かな。
あ、さ……
………朝?!
そこで一気に目が覚めた。
え?ちょ、ちょっと待って?
な、何も無かった…って事…?
グルンと私を抱き寄せ包み込んでいる宮本さんの腕と足。
でも…宮本さんにお借りしたスウェットは昨夜と一糸乱れぬまま。
こ、これは……本当に、『抱き心地』をお試しされた…だけ……
ベタだけど、思った。
“がーん”って。
私…そこまで色気が…無い?
こうやって密着していても尚、その気にならないほど…女子としての魅力が薄いって事?
『あれならいつ告白しても付き合って貰えるって!』
「………。」
何となく受付嬢さんの言葉が思い出され、急激に悲しくなって、目頭が熱くなる。
…起きよう、とりあえず。
何とか、涙を堪えて宮本さんの腕の中から逃れようと動いた。
…けれど。
「…何、もう朝?」
眉間に皺を寄せながら、「ん…」と少し悩ましげな声を出した宮本さんが私を抱き寄せる。それから、目を瞑ったまま、鼻をすり寄せ、唇同士を軽くくっつけた。
「…もっと寝たい。」
そのまま、またスースーと寝息を立て始める。
「………。」
だ、抱き心地としては、合格だったのかな…。
私も宮本さんの背中の方にそっと手を回した。それに応える様に、宮本さんがより私を引き寄せる。
…まあ、いいか。
こうやって腕の中に閉じ込めてくれているだけでも、幸せだから。
~♪~♪…
不意に私のスマホのアラームが鳴り出した。
…そっか、毎日鳴るように設定してあったっけ。
という事は、もう支度して出勤しなければいけない時間…。
宮本さんを抱き寄せる手を外したら、モソモソと宮本さんの手も動き出す。
その丸い指が私の髪を通って頭を引き寄せた。
「…もう起きる時間?」
「は、はい…そろそろ起きて支度をしないと。」
「そっか…」
ゆっくりで掠れた声。
それが甘えた様な声色に聞こえて、可愛い。
なんて思っていたら、パクリと唇を塞がれた。
チュッと言うリップ音がして、もう一度…塞がれる。
「ん…っ」
何度目かのキスの狭間に、『宮本さん…』と名前を呼ぼうとした声を掬い取られ、吐息に変わった。
途端、更に頭を強く抑えられて、より深いキスへと変化する。
唇を割り開き、口内に入って来た舌が、私のを絡め取り、そのまま、強く唇を塞がれた。
生暖かさと柔らかさが口内を支配し、身体の奥が熱くなる。
思わずギュウッと宮本さんの腕を掴んだ。
それに反応するかの様に、一度唇が離れ、宮本さんの甘い吐息が湿り気を帯びた唇にかかる。
「あ、あの…んんっ」
すぐにまた、一度パクリとキスをされ、唇が塞がれた。
生暖かい舌の絡む感触に
優しく髪を滑る掌の感触に
気持ちがギュウッと掴まれる。
…ずるい。
何も手出ししなかったくせに、こんなキスをして。
こんな風にされたら…もっと宮本さんと居たいって…触れて欲しいって思ってしまうのに………
「…今日も、来る?ここ。」
暫くして、宮本さんはキスをやめておでこをこつんとつけた。
息荒い私をよそに、宮本さんは、寝起きのトロンとした目で、くふふと笑う。
「今日さ、11時出勤で、昼休みに昼寝出来そうに無いから。夜抱き枕がいいわけ、俺は。」
「で、でも…さすがに二日連続家に帰らないのは…」
「一旦帰ったら?支度して待ってて。車で迎えに行く。」
再び私を腕と足で捕らえ、抱き寄せた。
おでこは…くっつけたままで。
「……返事は?」
「えっと…んん…っ」
今度は少し乱暴なキス。
角度を変えて、吐息すら掬い取る様に、何度も塞がれる。
「『ハイ』って言わないなら、11時の出勤までこのまま付き合って貰うけど。」
目を見開いた私に、少しだけ向けられた好戦的な目と、綺麗な三日月の唇。
「残念だったね。ここ、俺んちだから。俺のテリトリーなんで、俺がルール。」
そんな笑みを浮かべながら、また、キス。
「麻衣、返事。」
…本当にずるい。
きっとわかってるんだ、宮本さんは。
甘く、それでいて威圧的な、優しい声に、私があらがえないって。
「…はい。」
返事をした瞬間に、『いーこ』とばかり満足気に鼻をすり寄せて
「…もう少しだけ寝かせて。」
そう言って再び目を閉じ寝息を立て始めた。
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