Limited-lover
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駐車場から宮本さんのマンションまでの道程。
「あー…寒い…」
私の鞄を相変わらず持ってくれている宮本さんが、私の手をギュッと握ってそのままポケットに突っ込んだ。
指先がヒンヤリとしている宮本さんの手。
「…麻衣、眠い?」
「そういうわけじゃ無いんですけど…私、手が比較的いつも温かいんですよね、どういうわけか。」
「あーそうかもね。いつ握ってもぽかぽかしてるかも。」
笑う宮本さんの息が白く暗闇に映し出され、街灯に照らされ、そして消えて行く。
それを何となく見ながら、ポケットの中で、宮本さんの指先が少しでも温かくなるように、指を動かし触れた。
宮本さんの指も私の指をさする様に、包み込む。
少しずつ、温度が同じになっていく指先が嬉しくて、エレベーターに乗ると同時に頬を緩ませた。
途端、頬を繋いでいない方の手で摘ままれる。
「っ!冷たい!」
「あの寒さの中歩いて来たのに、頬も温かいじゃん。新陳代謝がいいんだね。」
「に、宮本さんの指先が冷たいんですよ…」
眉間に皺を寄せて口を尖らせた後、その指を掌で包む。
「そっかな?」と口角をキュッとあげた宮本さんの顔がそのまま近づいて来て、微かに唇が触れ合った。
「…ハンバーグ全部食ってい?」
「ど、どう…ぞ…」
戸惑い目線を外した私をクッと笑う。
「最初の日に比べて、本当に勢いなくなったよね、麻衣。」
「そ、そんなことはありません…。」
そうは言ったけど、その通りだって思う。
最初のあの日、確かに強引に勢い任せで押し切った感じで。
だから、もっとこう…一方的に私が頑張るのかなって漠然と思っていたから。
けれど実際に蓋をあけてみたら、宮本さんは優しくてずっとかまってくれていて…どちらかと言うと、私より宮本さんが頑張ってくれている感じ。
『なんせ、一週間しかないんだから』
…期間限定だから、頑張ろうってしてくれてるんだろうけど。
『サクラは…もっと近い感じ』
そして、サクラさんの後輩だからと言うのもあるのかもしれないけれど。
それをさっぴいても、私…ここまで、頑張ったのって今日のお弁当位なもんだよな…
「…ハンバーグどころか、食べたいものは全部差し上げます。」
「いいの?そんな事言って。麻衣の夕飯、ビールとカップラーメンになるよ?」
鍵をあけて私を中へ通してくれる宮本さん。
荷物を下ろして、お互い上着を脱いだ途端、ギュウッと背中から私を抱き寄せた。
「…温かっ。」
嬉しそうにくふふと笑う声が首元からする。
「待っている間、車の中…寒かったですよね。」
「んー?まあ…エンジン切ってたしね。」
「本当に、すみません…」
「平気。こうやって暖とりゃ、すぐあったまるから。」
頬に触れるふわふわな髪。
首筋に触れる、鼻先と頬。
そして、私を包み込んでくれている腕。
…私の方が温かくて満たされる。
嫌だな…あと少しでこれが無くなるの。
「…何か、良い匂いがすんだけど。爽やかな。」
「シャワー…浴びてきたのでシャンプーかな…」
「…そっか。」
宮本さんの唇が首筋に触れた。
耳に届く荒めの吐息に、思わず身体が反応して強ばる。
脳裏に蘇る、朝のキス。
鼓動が強く早く動き出した。
お泊まり二日目だし。
きょ、今日は…あ、ある…
「麻衣、俺、シャワー浴びてきてい?」
「は、はい…」
「じゃあ、着替えて待ってて。」
着替え…て……?
あっさりと離れた宮本さんはポンッと私の頭を撫で、それから冷蔵庫からビールを一本持ってきて私に差し出した。
「部屋着に着替えるでしょ?
そしたら 先に適当にくつろいでていいから。」
あ、あれ…?
えっと…
シャワーは一応浴びてきたけど、結構私なりにお洒落をして来たつもりだったんだけど…な。ちょっとこう…色気のあるように、オフショルダー来て鎖骨が見えるような感じで…。普段はパンツが好きだけど、スカートにしたし…
「部屋着、また出しとく。」
「自分の部屋着も持ってきました…ので…」
「あ~…それも捨てがたいけど、今日は俺ので。」
…"捨てがたい”?
何のことだろうか。
抱き心地の問題?
慣れたスウェットの触り心地の方がより安眠出来るとか?
まあ…宮本さんがその方がいいなら、それでもいいけれど…
「あんまり着てないのが、もう一着位あったはず。」
私から離れ、クローゼットを開けて、ガサガサと引き出しの中を探し始める宮本さん。
…今日も昨日同様、ただ、抱き枕にして寝る気満々じゃん。
「あ、フリース地のがある。これ気持ちよさそう。」
その為に私の部屋着を真剣に考えている様にしか見えないんですけど。
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駐車場から宮本さんのマンションまでの道程。
「あー…寒い…」
私の鞄を相変わらず持ってくれている宮本さんが、私の手をギュッと握ってそのままポケットに突っ込んだ。
指先がヒンヤリとしている宮本さんの手。
「…麻衣、眠い?」
「そういうわけじゃ無いんですけど…私、手が比較的いつも温かいんですよね、どういうわけか。」
「あーそうかもね。いつ握ってもぽかぽかしてるかも。」
笑う宮本さんの息が白く暗闇に映し出され、街灯に照らされ、そして消えて行く。
それを何となく見ながら、ポケットの中で、宮本さんの指先が少しでも温かくなるように、指を動かし触れた。
宮本さんの指も私の指をさする様に、包み込む。
少しずつ、温度が同じになっていく指先が嬉しくて、エレベーターに乗ると同時に頬を緩ませた。
途端、頬を繋いでいない方の手で摘ままれる。
「っ!冷たい!」
「あの寒さの中歩いて来たのに、頬も温かいじゃん。新陳代謝がいいんだね。」
「に、宮本さんの指先が冷たいんですよ…」
眉間に皺を寄せて口を尖らせた後、その指を掌で包む。
「そっかな?」と口角をキュッとあげた宮本さんの顔がそのまま近づいて来て、微かに唇が触れ合った。
「…ハンバーグ全部食ってい?」
「ど、どう…ぞ…」
戸惑い目線を外した私をクッと笑う。
「最初の日に比べて、本当に勢いなくなったよね、麻衣。」
「そ、そんなことはありません…。」
そうは言ったけど、その通りだって思う。
最初のあの日、確かに強引に勢い任せで押し切った感じで。
だから、もっとこう…一方的に私が頑張るのかなって漠然と思っていたから。
けれど実際に蓋をあけてみたら、宮本さんは優しくてずっとかまってくれていて…どちらかと言うと、私より宮本さんが頑張ってくれている感じ。
『なんせ、一週間しかないんだから』
…期間限定だから、頑張ろうってしてくれてるんだろうけど。
『サクラは…もっと近い感じ』
そして、サクラさんの後輩だからと言うのもあるのかもしれないけれど。
それをさっぴいても、私…ここまで、頑張ったのって今日のお弁当位なもんだよな…
「…ハンバーグどころか、食べたいものは全部差し上げます。」
「いいの?そんな事言って。麻衣の夕飯、ビールとカップラーメンになるよ?」
鍵をあけて私を中へ通してくれる宮本さん。
荷物を下ろして、お互い上着を脱いだ途端、ギュウッと背中から私を抱き寄せた。
「…温かっ。」
嬉しそうにくふふと笑う声が首元からする。
「待っている間、車の中…寒かったですよね。」
「んー?まあ…エンジン切ってたしね。」
「本当に、すみません…」
「平気。こうやって暖とりゃ、すぐあったまるから。」
頬に触れるふわふわな髪。
首筋に触れる、鼻先と頬。
そして、私を包み込んでくれている腕。
…私の方が温かくて満たされる。
嫌だな…あと少しでこれが無くなるの。
「…何か、良い匂いがすんだけど。爽やかな。」
「シャワー…浴びてきたのでシャンプーかな…」
「…そっか。」
宮本さんの唇が首筋に触れた。
耳に届く荒めの吐息に、思わず身体が反応して強ばる。
脳裏に蘇る、朝のキス。
鼓動が強く早く動き出した。
お泊まり二日目だし。
きょ、今日は…あ、ある…
「麻衣、俺、シャワー浴びてきてい?」
「は、はい…」
「じゃあ、着替えて待ってて。」
着替え…て……?
あっさりと離れた宮本さんはポンッと私の頭を撫で、それから冷蔵庫からビールを一本持ってきて私に差し出した。
「部屋着に着替えるでしょ?
そしたら 先に適当にくつろいでていいから。」
あ、あれ…?
えっと…
シャワーは一応浴びてきたけど、結構私なりにお洒落をして来たつもりだったんだけど…な。ちょっとこう…色気のあるように、オフショルダー来て鎖骨が見えるような感じで…。普段はパンツが好きだけど、スカートにしたし…
「部屋着、また出しとく。」
「自分の部屋着も持ってきました…ので…」
「あ~…それも捨てがたいけど、今日は俺ので。」
…"捨てがたい”?
何のことだろうか。
抱き心地の問題?
慣れたスウェットの触り心地の方がより安眠出来るとか?
まあ…宮本さんがその方がいいなら、それでもいいけれど…
「あんまり着てないのが、もう一着位あったはず。」
私から離れ、クローゼットを開けて、ガサガサと引き出しの中を探し始める宮本さん。
…今日も昨日同様、ただ、抱き枕にして寝る気満々じゃん。
「あ、フリース地のがある。これ気持ちよさそう。」
その為に私の部屋着を真剣に考えている様にしか見えないんですけど。
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