Limited-lover
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「真斗とサクラ…さ。付き合うまでに結構時間がかかったんだよね。」
鼻の奥がツンとする寒さの中、宮本さんちに帰宅して。「凍死したら困るから」なんて言われながら、お風呂に連れて行かれて。宮本さんが私を背中から抱きしめるように、二人でお湯に浸かった。
湯船の中、宮本さんが私を抱きしめ直し腕を動かすと、少しだけその水面がパシャンと音を立てた。
「最初は真斗がサクラを気に入ってさ。でも、サクラは真面目で、なんていうか…不器用だったんだよね、当時。
『仕事場に恋愛を持ち込むのは絶対に嫌です』って頑なで。
中々首を縦に振らなくて。一年以上、二人で格闘してたかな…。付き合う、付き合わないで。」
一年…以上。
顔を宮本さんの顔の方へ少し向けたら、フッと眉を下げて笑う宮本さん。
「麻衣で言う所の“キング”が一年がかりで口説いてやっと、だよ?」
「…高嶺の…花。」
「でしょ?」
…そうか。“付き合いたくても中々付き合えない”はそういう意味だったんだ。
「もうさ…その間、サクラは俺に“鈴木さんを止めてください”って泣きついてくるから面倒くさいのなんのって。真斗もあんなにモテるんだから、なんでそんなに固執するんだよ、なんて思っていたけどね。」
湯船の中で、宮本さんの指先が私の肌をなぞり出す。その唇が耳たぶに触れた。
「…今は気持ちが分かるかも。」
鼓動が強く跳ね、けれど悪戯に動く指先の感触にキュッと身体に力が入る。
「あ、あの…」
「んー?」
「そ、そろそろあがりたい…」
「ダメ」
その唇が、耳を這い、うなじを通って首筋をパクリとはさみ込む。
「…言ったでしょ?ここは俺の家なんで俺がルールだって。」
頬を手で押され横を向かされたら、そのまま唇を塞がれた。
「今日はじっくりあったまらせて頂きます。
真斗とサクラに邪魔されたけど、俺、昨日出た分、明日休み貰ったし。」
「わ、私は出勤…」
「いや、休みだよ?俺が代わりにサクラに許可貰っといた、昨日。」
本人無しに休み申請?!
しかも“昨日”…。私と話をする前って事だよね。あんなに憤慨して帰ってしまったのに…私。
気持ちが掴まれ鼻の奥がツンとする
私…本当に自分の事ばかりで、宮本さんの気持ちが…表してくれていた愛情が、わかってなかった。
「…ごめんなさい。」
謝った私に、宮本さんはクッと含み笑い。
「“一緒に居たくない”?」
「い、居たい…」
「聞こえない。」
「居たいで…す。」
「誰と?」
唇が再び首筋を這い、耳へと戻って来る。
「……言えよ。」
掠れた低い声と吐息が鼓膜を刺激して、再び身体がキュウッと強ばった。
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「真斗とサクラ…さ。付き合うまでに結構時間がかかったんだよね。」
鼻の奥がツンとする寒さの中、宮本さんちに帰宅して。「凍死したら困るから」なんて言われながら、お風呂に連れて行かれて。宮本さんが私を背中から抱きしめるように、二人でお湯に浸かった。
湯船の中、宮本さんが私を抱きしめ直し腕を動かすと、少しだけその水面がパシャンと音を立てた。
「最初は真斗がサクラを気に入ってさ。でも、サクラは真面目で、なんていうか…不器用だったんだよね、当時。
『仕事場に恋愛を持ち込むのは絶対に嫌です』って頑なで。
中々首を縦に振らなくて。一年以上、二人で格闘してたかな…。付き合う、付き合わないで。」
一年…以上。
顔を宮本さんの顔の方へ少し向けたら、フッと眉を下げて笑う宮本さん。
「麻衣で言う所の“キング”が一年がかりで口説いてやっと、だよ?」
「…高嶺の…花。」
「でしょ?」
…そうか。“付き合いたくても中々付き合えない”はそういう意味だったんだ。
「もうさ…その間、サクラは俺に“鈴木さんを止めてください”って泣きついてくるから面倒くさいのなんのって。真斗もあんなにモテるんだから、なんでそんなに固執するんだよ、なんて思っていたけどね。」
湯船の中で、宮本さんの指先が私の肌をなぞり出す。その唇が耳たぶに触れた。
「…今は気持ちが分かるかも。」
鼓動が強く跳ね、けれど悪戯に動く指先の感触にキュッと身体に力が入る。
「あ、あの…」
「んー?」
「そ、そろそろあがりたい…」
「ダメ」
その唇が、耳を這い、うなじを通って首筋をパクリとはさみ込む。
「…言ったでしょ?ここは俺の家なんで俺がルールだって。」
頬を手で押され横を向かされたら、そのまま唇を塞がれた。
「今日はじっくりあったまらせて頂きます。
真斗とサクラに邪魔されたけど、俺、昨日出た分、明日休み貰ったし。」
「わ、私は出勤…」
「いや、休みだよ?俺が代わりにサクラに許可貰っといた、昨日。」
本人無しに休み申請?!
しかも“昨日”…。私と話をする前って事だよね。あんなに憤慨して帰ってしまったのに…私。
気持ちが掴まれ鼻の奥がツンとする
私…本当に自分の事ばかりで、宮本さんの気持ちが…表してくれていた愛情が、わかってなかった。
「…ごめんなさい。」
謝った私に、宮本さんはクッと含み笑い。
「“一緒に居たくない”?」
「い、居たい…」
「聞こえない。」
「居たいで…す。」
「誰と?」
唇が再び首筋を這い、耳へと戻って来る。
「……言えよ。」
掠れた低い声と吐息が鼓膜を刺激して、再び身体がキュウッと強ばった。
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