Limited-lover
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結局、同じ雑貨屋さんに売っていた『携帯座布団』が良いのではと言う結論に達して、お買い上げ。
「?!宮本さん?!」
何故か、宮本さんが。
「あ、あの…私が敷くものですから…」
「そうだけど、そもそも俺の安眠の為だからね。」
だって…私が座布団敷くなんて言い出さなければこんなことには…
大体、付き合って二日目で、彼氏に座布団買って貰うってどうなの?
でも宮本さんはお金受取拒否な感じ満載だし……
「さーて、んじゃ、メシ食いに行こ。」
……それだ!
「お夕飯ごちそうします!」
「……俺、フォアグラとステーキ食べたい。隣のスカイビルの最上階のレストランで」
最上階?!
セレブしか行かないと言われるフロア……そんなところでステーキを食したら一体いくらになるのか。
「は、はい……あの…み、宮本さんがお好きなものを…」
大丈夫。
きっと、支払いはカードで分割出来るはず……
「い、い、行きましょう………」
極度に緊張しながら足を踏み出したら、右手をギュッと握られて後ろに引っ張られた。
「気が変わった。やっぱあそこ。ハンバーグの匂いがする。」
吹き抜けから見える、地下のカフェ。そこから確かにデミグラスソースの良い匂いがしてる。
「………お腹空いた。」
呟いた私に、宮本さんはハッと笑うと「んじゃ行くよ。」とまた私の手を握ったまま、コートのポケットに突っ込んだ。
「ハンバーグ好き?」
「そう…ですね…。宮本さん、好きなんですか?」
「俺?俺はね…うん、好き。」
下りエスカレーターに乗り、手すりにもたれながら会話する宮本さんはそれだけで何だか様になる。
川縁のベンチでも思ったけど、物凄く背が高いわけではないけれど、足が長めでスラリとした体型のせいかな?その割に顔が童顔だし…
すれ違う女性達皆、目線が宮本さんを追い泳いでいる。
気後れして、何となく繋いでいる手を離そうとしたらギュッと握り直されて指が辛み合う。
「…麻衣じゃないけど、腹減った。」
何事も無かった様に、エスカレーターから降りるとそのままスタスタとカフェに向かって歩く宮本さん。
……些細な事だけど嬉しいかも。
引っ張られながら密かに頬が緩んだ。
.
カフェに入って、メニューを見て。
ハンバーグにするかオムライスにするか、真剣に悩むこと3分。
苦渋の決断でオムライス。
「二つとも食べれば?」
「さすがにそれは胃が可哀想なので。」
宮本さんは「ふうん…」なんて興味なさげに相槌打っていたからそれで話は終わったって思っていたのに。
「一切れ食う?」
食べ始めて数分後、ヌッといきなり目の前にハンバーグが一切れ出て来た。それは確かに宮本さんのフォークに刺さっているハンバーグで。
「えっと…」
これは、“あーん”しろと……
「食わないの?」
差し出している本人は至って普通。
ま、まあ…「きゃっ!同じフォーク♡」ってなるほど乙女な歳でも無いしな。
逆にここで意識する方が変なのかも。
それに、散々色々な女性とお付き合いしてきた宮本さんにとっては、こう言う事は日常茶飯事なのかも…。
ドキドキしている心内を悟られないように、ぱくんとハンバーグを口に入れる。少し味の濃いめで甘さもあるデミグラスソースのハンバーグは、口の中でチーズと一緒にほろっと崩れる。
「おいひい……」
「でしょ?中々美味いよね。」
キュッと口角をあげて微笑んだ宮本さんは、自分もハンバーグを頬張った。
それによって膨らむほっぺた。
…何だろうか。もぐもぐぶりが、ものすごく可愛い。
あの店員さん、男の人なのに、立ち止まって振り返って見ちゃってるよ……。
向こうの奥の女性の店員さんも見てる。
お客さんも何人か……
本当に、どこに居ても注目の的だな、宮本さんて。
「あの…オムライスも食べますか?」
「うん。食ってみよっかな。」
お皿から「貰うよ」と自分のフォークにオムライスを少し載せて食べる。
「お、美味いね。オムライスも。」
…オムライスでも膨らむんだ。
フッと思わず笑ったら、「何?」と怪訝そうに見てる。
「本当に美味しいなあって思って。」
頬を緩ませたまま、口に頬張ったオムライスはさっきよりも何だか美味しく感じて、幸せが口いっぱいに広がる。
「……すげー美味そうに食うね。」
「だって美味しいですから。」
「そうかもしんないけどね?」
水を飲みながら眉を下げる宮本さんに今度は私が首を傾げる。
「や、まあ…麻衣に食われて幸せだね、オムライスもって話。」
…苦笑い。
これってもしや…今、私は食いしん坊のレッテルを貼られたのではなかろうか。(実際そうだけど)
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結局、同じ雑貨屋さんに売っていた『携帯座布団』が良いのではと言う結論に達して、お買い上げ。
「?!宮本さん?!」
何故か、宮本さんが。
「あ、あの…私が敷くものですから…」
「そうだけど、そもそも俺の安眠の為だからね。」
だって…私が座布団敷くなんて言い出さなければこんなことには…
大体、付き合って二日目で、彼氏に座布団買って貰うってどうなの?
でも宮本さんはお金受取拒否な感じ満載だし……
「さーて、んじゃ、メシ食いに行こ。」
……それだ!
「お夕飯ごちそうします!」
「……俺、フォアグラとステーキ食べたい。隣のスカイビルの最上階のレストランで」
最上階?!
セレブしか行かないと言われるフロア……そんなところでステーキを食したら一体いくらになるのか。
「は、はい……あの…み、宮本さんがお好きなものを…」
大丈夫。
きっと、支払いはカードで分割出来るはず……
「い、い、行きましょう………」
極度に緊張しながら足を踏み出したら、右手をギュッと握られて後ろに引っ張られた。
「気が変わった。やっぱあそこ。ハンバーグの匂いがする。」
吹き抜けから見える、地下のカフェ。そこから確かにデミグラスソースの良い匂いがしてる。
「………お腹空いた。」
呟いた私に、宮本さんはハッと笑うと「んじゃ行くよ。」とまた私の手を握ったまま、コートのポケットに突っ込んだ。
「ハンバーグ好き?」
「そう…ですね…。宮本さん、好きなんですか?」
「俺?俺はね…うん、好き。」
下りエスカレーターに乗り、手すりにもたれながら会話する宮本さんはそれだけで何だか様になる。
川縁のベンチでも思ったけど、物凄く背が高いわけではないけれど、足が長めでスラリとした体型のせいかな?その割に顔が童顔だし…
すれ違う女性達皆、目線が宮本さんを追い泳いでいる。
気後れして、何となく繋いでいる手を離そうとしたらギュッと握り直されて指が辛み合う。
「…麻衣じゃないけど、腹減った。」
何事も無かった様に、エスカレーターから降りるとそのままスタスタとカフェに向かって歩く宮本さん。
……些細な事だけど嬉しいかも。
引っ張られながら密かに頬が緩んだ。
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カフェに入って、メニューを見て。
ハンバーグにするかオムライスにするか、真剣に悩むこと3分。
苦渋の決断でオムライス。
「二つとも食べれば?」
「さすがにそれは胃が可哀想なので。」
宮本さんは「ふうん…」なんて興味なさげに相槌打っていたからそれで話は終わったって思っていたのに。
「一切れ食う?」
食べ始めて数分後、ヌッといきなり目の前にハンバーグが一切れ出て来た。それは確かに宮本さんのフォークに刺さっているハンバーグで。
「えっと…」
これは、“あーん”しろと……
「食わないの?」
差し出している本人は至って普通。
ま、まあ…「きゃっ!同じフォーク♡」ってなるほど乙女な歳でも無いしな。
逆にここで意識する方が変なのかも。
それに、散々色々な女性とお付き合いしてきた宮本さんにとっては、こう言う事は日常茶飯事なのかも…。
ドキドキしている心内を悟られないように、ぱくんとハンバーグを口に入れる。少し味の濃いめで甘さもあるデミグラスソースのハンバーグは、口の中でチーズと一緒にほろっと崩れる。
「おいひい……」
「でしょ?中々美味いよね。」
キュッと口角をあげて微笑んだ宮本さんは、自分もハンバーグを頬張った。
それによって膨らむほっぺた。
…何だろうか。もぐもぐぶりが、ものすごく可愛い。
あの店員さん、男の人なのに、立ち止まって振り返って見ちゃってるよ……。
向こうの奥の女性の店員さんも見てる。
お客さんも何人か……
本当に、どこに居ても注目の的だな、宮本さんて。
「あの…オムライスも食べますか?」
「うん。食ってみよっかな。」
お皿から「貰うよ」と自分のフォークにオムライスを少し載せて食べる。
「お、美味いね。オムライスも。」
…オムライスでも膨らむんだ。
フッと思わず笑ったら、「何?」と怪訝そうに見てる。
「本当に美味しいなあって思って。」
頬を緩ませたまま、口に頬張ったオムライスはさっきよりも何だか美味しく感じて、幸せが口いっぱいに広がる。
「……すげー美味そうに食うね。」
「だって美味しいですから。」
「そうかもしんないけどね?」
水を飲みながら眉を下げる宮本さんに今度は私が首を傾げる。
「や、まあ…麻衣に食われて幸せだね、オムライスもって話。」
…苦笑い。
これってもしや…今、私は食いしん坊のレッテルを貼られたのではなかろうか。(実際そうだけど)
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