運命という名の足枷(仮)


─農園にて─

がやがやと、朝から騒がしい。

数人の“少年”達が、船に乗せられていた。

ほとんどが、指をくわえてその様子を眺めている。

──少年達は、奴隷市場に出されるのだ。


「いいなぁ…」

ヒルダの隣で、徒樹は呟く。

小首をかしげるヒルダ。

「そうか?」

ヒルダは自分が街の市場で売られる姿を想像してみる。

首には縄。

足元には値段が表示されている板。

通りすぎていく人々が、同情や蔑みや、興味本位の視線を注ぐ。

そして、奴隷商人は声を張り上げるだろう、

「安いよ」 と。

想像上のスメイに、脳内で暴言を吐くヒルダ。

とにかく、想像するだけで 虫酸が走る、反吐が出る。

──捨て犬より、惨めだ。
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