運命という名の足枷(仮)
6
─農園にて─
がやがやと、朝から騒がしい。
数人の“少年”達が、船に乗せられていた。
ほとんどが、指をくわえてその様子を眺めている。
──少年達は、奴隷市場に出されるのだ。
「いいなぁ…」
ヒルダの隣で、徒樹は呟く。
小首をかしげるヒルダ。
「そうか?」
ヒルダは自分が街の市場で売られる姿を想像してみる。
首には縄。
足元には値段が表示されている板。
通りすぎていく人々が、同情や蔑みや、興味本位の視線を注ぐ。
そして、奴隷商人は声を張り上げるだろう、
「安いよ」 と。
想像上のスメイに、脳内で暴言を吐くヒルダ。
とにかく、想像するだけで 虫酸が走る、反吐が出る。
──捨て犬より、惨めだ。