運命という名の足枷(仮)
第二章

ヒルダは何度も同じ夢をみた。

悪夢だ。

恐怖などという、たったの二文字に収斂(しゅうれん)する事は到底 不可能な、不可解な感情を抱かせる夢。

喪失感と、屈辱感と、たまらない──焦燥感が交錯する。

欲しくてたまらない“何か”は結局手に入れる事が出来ず、別の誰かの懐に…。

気分が悪い。

ヒルダは目を開き、ぼんやりと天井を見つめる。

穴からは星ひとつ見えない。

今日に限って真っ暗だ。

いや、今日だからこそ──。
< 16 / 17 >

この作品をシェア

pagetop