運命という名の足枷(仮)
第二章
ヒルダは何度も同じ夢をみた。
悪夢だ。
恐怖などという、たったの二文字に収斂(しゅうれん)する事は到底 不可能な、不可解な感情を抱かせる夢。
喪失感と、屈辱感と、たまらない──焦燥感が交錯する。
欲しくてたまらない“何か”は結局手に入れる事が出来ず、別の誰かの懐に…。
気分が悪い。
ヒルダは目を開き、ぼんやりと天井を見つめる。
穴からは星ひとつ見えない。
今日に限って真っ暗だ。
いや、今日だからこそ──。