東京血風録3 キラーズ・コード【改編版】
奈良組である。
逃げてきた鬼は、摂津秋房の姿を探していた。
もう、すぐそこの筈である。
そこまで来ていた。
また、追手も迫っていたが。

奈良組あとの2人。
京都から来た男と奈良から来た男。


話を聞いていた、柊一と真琴は怖気が止まらなかった。もしやもしやと思っていて続きをじっと聞いていたが、遂にその時が来たかと身が捩れるようである。



東京から逃れて来た摂津と、追ってきた藤堂の前に男が立ち塞がった。
小柄だが、筋骨隆々一本の長い棒を片手に仁王立ちである。
白の長襦袢に黒の作務衣姿はさながら、山伏のようであった。烏帽子は無いが。
長い棒は、六角形であった。
その男が叫んだ。
「やい、妖(あやかし)止めいっ!!」
斬り刻む腕を止め、摂津は男へ向き直る。激しく動いた筈なのに、息も切れてなかった。
「全く、お主の邪気は相当なもんじゃな。平地じゃと、一里も先からわかるわ。
通りがかりで悪いが、見て見ぬふりは出来ぬゆえ邪魔する」
摂津が静かな眼で見据えると、
「儂の名は、王道漣左じゃ。お節介焼きじゃ」と、名乗った。
「邪魔をするな!」
摂津の声に、間延びした声で、
「首を突っ込んでしまったのでな。もう、後には引けんのじゃ」と。

その時だった。
彼らより先、南の方角の林の中から男が飛び出して来た。
ズタボロの着物の男は林から飛び出るなり、摂津様〜!!
と大音量で叫んだ!
男の頭には、2本の角が。
男が2人林から飛び出したのは、すぐ後の事だった。

ぐるぅるぅあぁぁああぁあー!!
摂津の怒声!
「なんじゃ⁉︎」と漣左。







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