東京血風録3 キラーズ・コード【改編版】
結晶として
結界の中は、煙の砂埃に依り渦巻いていた。結界の外へ出ていないのは流石と言うべきだろう。
煙が収まるのを待ちて。
結界の外、大鉄と無良だった者たちがのろのろと立ち上がる。
足許には鬼児。
記憶も曖昧なのか、ここで何をしていると言った風貌でその場をあとにしようとしていた。
鬼児どもは、大鉄と無良だった者には見えないようで、その場に放置された。
摂津の呪縛は逃れたものの実体は残るようで、指示もない鬼児どもはその場を蠢くだけであった。
すると、そこへ駆けつけた者あり。
剣を突き出している。
剣と言うのはそのままで、日本刀の様に曲がっておらず、フェンシングのフルーレ如く真っ直ぐな形状だった。
腰まで伸びた長髪は、頭上で結ばれて風に靡いていた。その色が、金髪なので一層目立っていた。黒の着物が黄色で縁取られているのも目立つ。襷も黄色なので派手派手である。
とりゃとりゃとりゃー!
と言いながら、鬼児を団子の様に突き刺していくと、片っ端から霧散していくのだった。
「大漁大漁!」
笑顔の正体は、童顔で悪ガキみたいな印象である。
目の下の隈取りが、これまた黄色でそれがまた幼く見せていた。
結界内。
煙が収まると、摂津の身体は消えていた。
柊一と真琴は倒れていて、気を失っていた。その前には燃えかけた護符が何枚も散らばっていて、柊一が寸手の所で防御に回した護符の成れの果てである。
なんとか、最悪の事態は逃れていた。
飛鳥は。
その丸めた背中に、爆風による衝撃で学生服が裂け岩が刺さっていた。
その身体の下に、遥がいた。
咄嗟の行動だったが、遥を守り抜いたの
だ。
飛鳥の身体から這い出ると、ありがとうと告げた。
みんなの様子が気掛かりだったのだが、伊號丸がけたたましく叫ぶものだから、それどころじゃなくなった。
【遥殿、声を貸してくれ!】
そう言うなり、遥の体遥の声で、
「つらぬき〜つらぬき〜!!」
と、叫んでいた。
よく見ると、御業の結界の外の野原に小柄な男が立っていた。黄色の派手な装束である。
「えぇ〜っ!伊號かい?なんで〜⁉︎
」と、可愛らしい声で返してきた。
伊號、つらぬき?何だ?この会話、などと考えていると、また声を奪われ、
「久しぶりじゃの!何十年振りじゃ?」
と、返した。
呆気に取られながら。
【誰なんだい?伊號丸】
と、木刀経由で尋ねると、
【あれは貫丸(つらぬきまる)じゃよ。
剣鬼の仲間じゃ】
と、答えてくれた。
剣鬼?伊號丸の仲間?初めて遭う伊號丸以外の剣鬼の登場に驚いた。
剣鬼同士だと“丸”は付けないのか。
そんな事に感心しながら、前に伊號丸と話していた事を思い出していた。
剣鬼の実体化である。
それは、剣鬼は剣や刀に憑依している剣の精霊の事なんだけど、人間の精神を乗っ取る事で実体化が可能なんだと。
人の身体を使わないと出来ない事を行う時や現世に存在したい時は使う、言わば禁じ手らしい。が、伊號丸は僕にそれを使う気はないと言っていた。それを勝手に信じてはいたが。
実体化する姿を見ると、伊號丸にもあの様な姿があるのかと、現実味を帯びたものとなった。
煙が収まるのを待ちて。
結界の外、大鉄と無良だった者たちがのろのろと立ち上がる。
足許には鬼児。
記憶も曖昧なのか、ここで何をしていると言った風貌でその場をあとにしようとしていた。
鬼児どもは、大鉄と無良だった者には見えないようで、その場に放置された。
摂津の呪縛は逃れたものの実体は残るようで、指示もない鬼児どもはその場を蠢くだけであった。
すると、そこへ駆けつけた者あり。
剣を突き出している。
剣と言うのはそのままで、日本刀の様に曲がっておらず、フェンシングのフルーレ如く真っ直ぐな形状だった。
腰まで伸びた長髪は、頭上で結ばれて風に靡いていた。その色が、金髪なので一層目立っていた。黒の着物が黄色で縁取られているのも目立つ。襷も黄色なので派手派手である。
とりゃとりゃとりゃー!
と言いながら、鬼児を団子の様に突き刺していくと、片っ端から霧散していくのだった。
「大漁大漁!」
笑顔の正体は、童顔で悪ガキみたいな印象である。
目の下の隈取りが、これまた黄色でそれがまた幼く見せていた。
結界内。
煙が収まると、摂津の身体は消えていた。
柊一と真琴は倒れていて、気を失っていた。その前には燃えかけた護符が何枚も散らばっていて、柊一が寸手の所で防御に回した護符の成れの果てである。
なんとか、最悪の事態は逃れていた。
飛鳥は。
その丸めた背中に、爆風による衝撃で学生服が裂け岩が刺さっていた。
その身体の下に、遥がいた。
咄嗟の行動だったが、遥を守り抜いたの
だ。
飛鳥の身体から這い出ると、ありがとうと告げた。
みんなの様子が気掛かりだったのだが、伊號丸がけたたましく叫ぶものだから、それどころじゃなくなった。
【遥殿、声を貸してくれ!】
そう言うなり、遥の体遥の声で、
「つらぬき〜つらぬき〜!!」
と、叫んでいた。
よく見ると、御業の結界の外の野原に小柄な男が立っていた。黄色の派手な装束である。
「えぇ〜っ!伊號かい?なんで〜⁉︎
」と、可愛らしい声で返してきた。
伊號、つらぬき?何だ?この会話、などと考えていると、また声を奪われ、
「久しぶりじゃの!何十年振りじゃ?」
と、返した。
呆気に取られながら。
【誰なんだい?伊號丸】
と、木刀経由で尋ねると、
【あれは貫丸(つらぬきまる)じゃよ。
剣鬼の仲間じゃ】
と、答えてくれた。
剣鬼?伊號丸の仲間?初めて遭う伊號丸以外の剣鬼の登場に驚いた。
剣鬼同士だと“丸”は付けないのか。
そんな事に感心しながら、前に伊號丸と話していた事を思い出していた。
剣鬼の実体化である。
それは、剣鬼は剣や刀に憑依している剣の精霊の事なんだけど、人間の精神を乗っ取る事で実体化が可能なんだと。
人の身体を使わないと出来ない事を行う時や現世に存在したい時は使う、言わば禁じ手らしい。が、伊號丸は僕にそれを使う気はないと言っていた。それを勝手に信じてはいたが。
実体化する姿を見ると、伊號丸にもあの様な姿があるのかと、現実味を帯びたものとなった。