東京血風録3 キラーズ・コード【改編版】
第4章 動き出す

恋心

東京。
遥は戻って来た。
霧華が入院している病院へ向かった。
病室はもぬけの殻で、すっかり片付いていた。
慌ててナースに訊くと退院したと言う。
親族と名乗る男が来たと言う。
具合が悪かったのでは、と言うと自分の脚でしっかり立ってましたよ、と教えてくれた。自分で立てる訳がない。
傀儡師のあの男の顔が浮かんだが、何処へ連れて行かれたが分からない。

マンションも考えたが、ここから近い方
除霊処オカルトOHDOHへ向かった。

鍵を探しながら、エレベーターから降りると、店の前に男が立っていた。
身長は2メートル近い筋骨隆々の男である。こちらを振り向くと、ニヤリと笑い「王道遥さん?」
と、尋ねてきた。




長野の病院。
飛鳥が入院している病院である。
待合室。
後の事はナースにお任せして、それぞれ京都と奈良へ帰る準備をしていた。
柊一と真琴である。
「話がある」
真琴が切り出した。
「柊ちゃん、変だった」
普段はメガネと呼んでいた。照れ隠しだった。
二人は幼馴染なので、これが普通なのだが真琴の勝気な性格がそうさせていた。
今日は我慢が出来なくなってた。
「憧れの霧華さんに会えたから?」
柊一は、今回東京へ向かう折、王道霧華の営む除霊処オカルトOHDOHへ、前もって電話していた。
そこで、話をしただけだが運命とまで断言するほど入れ込んでいた。そんな素振りは見せずに。
だが、真琴は気づいていた。
もっと言えば、真琴は嫉妬していた。
真琴は柊一の事が好きだった。
あんな形で、あんな姿の霧華と逢った。
印象は。
負けた。
私は、ああいうタイプじゃない。
美しいタイプじゃない。
病的な美しさ(本当に具合悪いし)。
勝てない。

「何を言っている?」
柊一は訝しがる。
「あんな状態なのに、傀儡師まで使って
こんな所まで来てるんだ。心配するのは当たり前だろう」
「そんなのは分かってるよ。そうじゃないの、そんなのは関係ない」
柊一は眉間に皺を寄せる。
「私の気持ち、考えて!」
沈黙。
1秒。
2秒。
3秒。
「どういう事?」
間延びした声である。
真琴は赤面した。






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