東京血風録3 キラーズ・コード【改編版】
東京。
伽藍学園。
校門に、巨大な男が立っていた。
着ているTシャツははち切れんばかりである。

男の前方、校舎の隅に女性が立っていた。遠くながらも目が合うと、女は小さく頷いた。
それを合図に、男は歩き出した。 

東北新幹線で来た男である。
女と合流すると、すぐ様用件に入る。
「レッドです。本編見つかりましたが、2枚紛失。レッドです」
「2回繰り返すなよ」
「重要事項ですので」
にべもなく返されて、男は首をすくめた。
「剛太も向かってる。もう少し痕跡が欲しい。宜しく頼む」
男が言うと女は頷き、さっと行った。
さて、どうしたものか。
男の独り言である。



遥はマンションに来ていた。
霧華がいるだろう場所で、思い当たる所はもうない。
祈る想いで、鍵を開けた。
期待は、叶わなかった。
何処を捜すべきか、思い悩んでいるとチャイムが鳴った。
姉の可能性もあるので、急いでカメラをチェックすると、先程事務所で会った男が映っていた。
下で待っててほしい旨を伝え、鍵をかけて降りていった。


一階ロビーを抜けると、男が立っていて矢継ぎ早に捲し立てた。
「こんなに早く会うとは思いませんでした。レッドカードです!連絡が入りました」
なんだ?
「失った“書”の本体は見つかりました。ただ、中のページ2枚が紛失しておりました。キラーズ・コード発出です!」
何の事を言っている?
キラーズ・コード?
「先程も言いましたが、詳しくは言えませんが“書”の内容は、それを読む、いや目を通す事により、人間の使われていない能力を引き出す事が出来るのです。分かりますか?人体には使われてない本来の領域がある事を。それを解放するのです。筋力とか速度とか、或いは勘です。勘が鋭くなると言った事が、顕現するのです。キラーズ・コードはそれを利用されるのを阻止する為の合図です。総機関が動き出します」
男の言っている事は判る。人体の神秘みたいな事を聞いた事がある。それはわかるのだが。
「それで何で僕の所に来たのかが、先刻から気になってたんだけど?」
男が深々と頭を下げてから、
「申し遅れて申し訳ございませんでした。私は、禁断の書監視委員会西日本支部の無敵丸剛太です。改めまして宜しくお願い致します。王道遥様の所へ参りましたのは、去る事件で伽藍学園へ行かれましたね。あの時、校舎崩落事故が起きましたよね?」と。
確かにそうである、鬼児に取り憑かれた日暮幸多が中空の渡り廊下に激突して、崩落に繋がったのだ。
それと何の関連が?
「あの時なんです」
一拍間を置いて。
「あの崩落事故が起きたのと同じ時間に“書“が盗まれたのです!」










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