僕に初めての感情を君が教えてくれた。


僕が、摩耶を初めて見たのは、受験の日だった。

受験を受ける高校に、行く道の途中のバスだった。


その日は、人が多くて、とても混雑していた。お婆さんがつらそうに立っていて、誰も席を譲ろうとしなかったんだ。でも、君は、違った。
お婆さんが乗ってきた瞬間、席を譲っていた。


普通の人だったら、普通の光景ぐらいで終わるだろう。でも、僕は、これが何故か強く印象に残って、受験で緊張するなとか、早く今日が終われと思っていたのに、すべて吹き飛んだ。

ずっと女子に興味なんてなかったのに、何故か、名前も知らない君のことを知りたいと思った。



また、会えたらいいなと思った。
< 3 / 15 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop