16歳、きみと一生に一度の恋をする。
「欲しいの?」
「いや、そういうわけじゃないんだけど……」
今日は自分のお土産は買わない予定だ。
でも、スマホカバーにはストラップホールがあるから付けたら可愛いんじゃないかな……という私の心の声がどうやら通じてしまったようで、彼はそのストラップをフックから外した。
「俺が買ってやる」
「え、い、いい。じゃあ、自分で買うよ!」
「なら俺は汐里のを。汐里は俺のを買うってことでどう?」
「……まあ、それなら」
晃とおそろいで買ったストラップは、すぐに付けるからとタグは外してもらった。
きっと私が素直に欲しいと言わなかったから、晃は自分のぶんも手に取ったんだと思う。
今日の晃は優しい。ううん、違う。
晃は出逢った頃から、優しい。