16歳、きみと一生に一度の恋をする。


オレンジ色の夕日にかざすと、ハーバリウムに浮かんでいるガラスストーンが宝石みたいに輝いて見えた。

私たちのストラップが、コツンッと小さな音を出して当たる。天国の色をした雫型の海が、ゴンドラに合わせてゆっくりと揺れていた。


ねえ、晃。

部室棟で寝ている私の頭を撫でていたこと、本当は知っているよ。

私はね、今までたくさん気づいていないふりをしてきた。

今だってそう。きみは戸惑いながらも気持ちだけはむき出しで、本当に嫌になるほど伝わってくる。

そのたびに、私がどれだけ気づかないようにしてきたか。

知らん顔をして疎いふりをしてきたか、きみは夢にも思わないでしょう?

私だって、目が合えば心臓くらい跳ねる。

触れ合えば、そこそこに身体も熱くなる。

私がなんとも思っていないようにしてたのはね、私も気づかれたくなかったから。

私自身がまだ、晃への気持ちを見ないようにしているの。


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