16歳、きみと一生に一度の恋をする。
「わあ、お母さん、綺麗だね!」
「そうね。とっても素敵ね」
純和風つくりの部屋には、テレビはもちろんのこと、冷蔵庫や電気ポット。さらにハンドタオルや歯ブラシリンスインシャンプーとアメニティグッズもすべて揃えられていた。
部屋の窓から見える小川は、水底にある苔がはっきりと確認できるくらい透きとおっている。
仲居さんから館内の説明とお風呂や食事の時間を聞いたあとは、用意されていた浴衣に着替えることにした。
「汐里、とっても可愛いじゃない!」
「そうかな? お母さんも似合ってるよ」
浴衣は麻の葉模様の薄ピンク色。紅色の帯はお母さんに蝶々結びにしてもらった。
夕食は午後六時からなので、私たちは下見を兼ねて温泉に入ることにした。
口コミにあったように、星が見える露天風呂の他、様々な種類の温泉があり、予約不要の貸切露天風呂も楽しめるようだ。
時間が早いので、大浴場には私たち以外に誰もいなかった。