16歳、きみと一生に一度の恋をする。


「晃って、食堂使ったことある?」

「あー、入学したての頃は使ってたけど、三年に目つけられるようになってからは行ってない」

無駄に絡まれるし、じろじろと見られている視線だけで飯が不味くなるから。

「食堂の日替わりランチって美味しいんだってね」

そう言いながら、汐里はいつものメープルパンを一口かじる。

たしか月曜日はカレー。火曜日はハンバーグ。水曜日はナポリタン。木曜日は……なんだったっけ。

「日替わり、食いたいの?」

「え、いや、でもすぐ売り切れちゃうらしいし、予約すればいいみたいだけど、やり方もよくわかんないしさ」

汐里は自分のことには無頓着で、後回しにしがちだけど、したいことがないわけじゃない。

「……じゃあ、今度一緒に食堂行く?」

「え?」

「俺といるとちょっと目立たせるかもしれないけど、汐里がイヤじゃなければ」

この瞬間にも、願望が湧いてくる。ダメだと言い聞かせるほど制御が効かなくなる。

「うん。じゃあ、今度連れていって」

汐里は嬉しそうに、ほくほくとした表情を浮かべていた。

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