16歳、きみと一生に一度の恋をする。
「な、なんで晃が持ってるの?」
汐里の声が震えていた。体内に駆けめぐっているであろう動揺が痛いほど伝わってくる。
「ねえ、なんで……?」
問い詰められるように、制服を掴まれた。
隠すつもりなんて最初からなかった。
いずれわかることだし、この罪悪感を抱えたまま汐里と接することにも限界がきていた。
「なんでって、俺の家に届いてたからだよ」
「え……」
「汐里のことを裏切ったあの人は、今の俺の父親だ」
幻滅される。怒鳴られる。
そう思っていたのに、実際は違った。
汐里の瞳から光が消えていく。力をなくしたように、その手から手紙が落ちる。
大声で罵られたほうが楽だと思った。
彼女の表情は、とても悲しそうだった。
傷つけた。
新しい傷を作ってほしくないと思っていたのに……俺がやってしまった。