16歳、きみと一生に一度の恋をする。


次第に手紙の真相を考えるようになり、色々な憶測を組み立てていった結果、もしかしたらこれは両親が再婚したことが関係しているのではないと思った。

そして俺は……一彦さんの書斎を探った。

仕事で使っているであろうノートが入った引き出しの中で見つけたのは一枚の写真。そこには俺と同い年くらいの女の子が衣装を着てピースサインをしていた。

〝十歳 汐里 清塚(きよづか)小学校 鼓笛パレードにて〟

写真の裏側には、そんな文字が綴られていた。

……汐里って、誰だ?

手紙の真相を探していたはずだったのに、その子のことがどうしても気になって、俺は学校帰りにひとりで清塚小に行った。

彼女は驚くほどすぐに見つけることができた。

『蓮見さんって、今井って名字に変わったんだよね?』

『うん。なんかね、汐里ちゃんのパパが浮気したから離婚したんだって』

『私はママに優しくしなさいって言われたよ。汐里ちゃんは大変で可哀想だからって』

下校していく人たちは、みんな彼女のことを噂していた。

< 69 / 190 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop