16歳、きみと一生に一度の恋をする。
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嫌われてもいいと思っていたのに、嫌っていてもいいから傍にいたいと思う。
そう自覚していくたびに、彼女の存在が俺の中で大きくなっていく。
窓ガラスの騒動から数日が経っていた。
教師たちはあれからちゃんと調べて、学校の敷地内にあった防犯カメラに三年が映っていたことから、俺の疑惑は完全に晴れた。
犯人だったヤツらは現在謹慎処分中なので、むやみに喧嘩を売られることもなく、今は平和に過ごしている。
「んで、どうなんだよ。日替わりランチは」
生徒たちがたくさん行き交う食堂。庇ってくれた礼に日替わりを食べようと俺から誘った。
周りにジロジロと見られることには慣れているけれど、俺と汐里ができてるなんて噂もあるようで、今日はさらに視線がひどい。
「美味しいよ! これでワンコインとかすごいね」
それでも汐里は気にしていないようだった。
普段は感情の起伏が薄く見える彼女も、よほど念願だったのか満足そうにしている。
「じゃあ、これもやるよ」
俺は同じ日替わりランチのハンバーグに添えられていた海老フライを彼女の皿に乗せた。
「いいの?」
「うん、いいよ」
あの騒動以来、汐里は俺を避けることはしなくなった。前のように話してくれるし、部室棟にも来てくれる。