16歳、きみと一生に一度の恋をする。


***


嫌われてもいいと思っていたのに、嫌っていてもいいから傍にいたいと思う。

そう自覚していくたびに、彼女の存在が俺の中で大きくなっていく。


窓ガラスの騒動から数日が経っていた。

教師たちはあれからちゃんと調べて、学校の敷地内にあった防犯カメラに三年が映っていたことから、俺の疑惑は完全に晴れた。

犯人だったヤツらは現在謹慎処分中なので、むやみに喧嘩を売られることもなく、今は平和に過ごしている。

「んで、どうなんだよ。日替わりランチは」

生徒たちがたくさん行き交う食堂。庇ってくれた礼に日替わりを食べようと俺から誘った。

周りにジロジロと見られることには慣れているけれど、俺と汐里ができてるなんて噂もあるようで、今日はさらに視線がひどい。

「美味しいよ! これでワンコインとかすごいね」

それでも汐里は気にしていないようだった。

普段は感情の起伏が薄く見える彼女も、よほど念願だったのか満足そうにしている。

「じゃあ、これもやるよ」

俺は同じ日替わりランチのハンバーグに添えられていた海老フライを彼女の皿に乗せた。

「いいの?」

「うん、いいよ」 

あの騒動以来、汐里は俺を避けることはしなくなった。前のように話してくれるし、部室棟にも来てくれる。
 
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