16歳、きみと一生に一度の恋をする。
切ないほどに
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朝を待ったのは久しぶりだ。
なかなか眠れずに、まるで遠足の前の日のようだった。
東の空が明るくなる。
夜が明けて、用意した洋服に腕を通せば、高鳴っている気持ちを誤魔化すのは不可能だ。
これ以上親しくなってはいけない。
繰り返しそう思っているのに……彼を遠ざけることもできなくなっていた。
換気扇が回っている台所。私は学校に行く時よりも早く朝食の準備をしていた。
「汐里。おはよう。今日はバイトもないのに早いのね」
今日も仕事があるお母さんは、いつもどおりの時間に起きてきた。
「うん。おはよう。ちょっと友達と出かける予定があるんだ」
「そうなのね」
「ご飯炊いてお味噌汁は作っておいたから。六時くらいには帰ってくると思うけど、もし遅かったら先に晩ごはんは食べてていいからね」
「わかったわ。でもちゃんと連絡はしてね」
「うん」
ここ数年は休みの日でも家にいることが多かったから、こうして待ち合わせ時間を気にしているのも久しぶりの感覚だった。