16歳、きみと一生に一度の恋をする。
待ち合わせ場所である駅に向かうと、すでに晃は噴水の前で立っていた。
……私も早めに来たつもりだったのに。
「ごめん。待った?」
晃は本当にどこにいても目立つ。
今日の彼の格好は黒のトレーナーに同色のズボン。デニムのジャケットはわざと肩が落ちるように羽織っていた。
なんか……カッコよくてズルいな。
私なんて相変わらず安い服しか持ってないから、なにを着てもちんちくりんにしかならない。
「待ったよ。おせえ」
「そっちが早く来すぎなんでしょ」
「寝ずにきたんだから当たり前だろ」
「夜遊びでもしてたの?」
「は? ちげーよ。普通に楽しみだから眠れなかったに決まってんじゃん」
晃のまっすぐな言葉に瞬きの数が多くなる。実は私もと言える性格でもないので「あっそ」と素っ気なく返してしまった。