16歳、きみと一生に一度の恋をする。


入場ゲートから遊園地に入ると、すぐにメロディペットと呼ばれる動物の乗り物があちらこちらに置いてあった。

「乗る?」

晃が意地悪な顔で聞いてくる。年齢制限はないにしても、さすがに高校生が乗るには勇気がいる。

「晃が乗れば」

「俺、足つくし」

「それって遠回しに私の足が短いって言ってる?」

「言ってるかも」

バシッと晃の背中を叩くと、痛そうにしながらも笑っていた。

なんか、もうすでに楽しい。晃はパンフレットを広げながら、私が乗りたいものを聞いてくれた。

目の前にメリーゴーランドもあるし、コーヒーカップも魅力的だけど私は……。

「あれがいい」

指さしたのは、龍のようにくねくねしてるジェットコースターだった。

こう見えて絶叫系には目がない。速いものに乗ると気持ちがスカッとするし、せっかく来たのだからたくさん乗りたいと思った。

ジェットコースターを二回乗った。次はバイキング、その次は回転ブランコと揺れが激しいものばかりを乗っていたら、晃から「ストップ」と言われてしまった。

「ごめん。連続で乗りすぎた?」

晃は目が回ったと言っているけれど、私は三半規管が強いのか酔うこともない。

「いや、お前が楽しそうでなによりだよ」 

遊園地なんて久しぶりだったから、つい童心に返ってしまっている。

< 97 / 190 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop