16歳、きみと一生に一度の恋をする。
それから休憩も兼ねてお昼ごはんを食べることになった。
レストランは混んでいたので外の売店でフランクフルトと焼きそばを注文して、デザートにいちご味のかき氷も食べた。
チケット代は晃が出してくれたから、ここは私に奢らせてと頼んだけれど、「だったら割り勘な」と結局半分払ってくれた。
「お前って、そういう顔で笑うんだな」
視線を感じると思ったら、晃がじっと私の顔を見ていた。
なんだか柄にもなくはしゃいでいることに気づいて、気恥ずかしさで前髪を触る。
「どうして今日は遊園地だったの?」
なんとなく晃はこういう人が多い場所は苦手なイメージがあった。
「んー、なんか俺らって色んなことを見すぎて妙に達観してるっていうか、高校生らしくないだろ。だから汐里と純粋に楽しみたかったんだよ」
晃は誘ってくれた時に、『なにも考えないで俺と遊んでよ』と言った。
それは日常からの解放じゃなくて、お互いのバックボーンにあるものを考えずにって意味だと思っている。
約束どおり私たちは今日、家族の話をしていないし、私もなるべく気にしないようにしている。