16歳、きみと一生に一度の恋をする。
昼食を食べたあとは、ゴーカートやお化け屋敷、子供用の輪投げもした。
「つか、俺だけびしょびしょなんだけど」
急流滑りという単語に惹かれて乗ってみたら、並んで前列に座っていたはずなのに、私は濡れずに、晃だけに水がかかった。
「ぷ、あはは……っ」
どうしよう。なんかツボに入ってる。
「笑うなよ」
だって、お風呂上がりみたいになっている晃がおかしくて仕方がない。涙目になりながら、私はカバンからタオルを取り出した。
「ちょっと小さいけど、これで使って」
「ん」
晃は恥ずかしそうな顔をしつつ、犬のように頭を振って髪の毛をガシガシと拭いていた。
体格も大きいので見た目は怖い印象もあるけれど、晃には可愛い一面もあるってことをまたひとつ知ることができた。
アトラクションを回ったあと、私たちはお土産を見ることにした。
ここでしか買えないお菓子や、イメージキャラクターのぬいぐるみも売っている。
お母さんのぶんと、冨山さんのぶんと、あとバイト先にもなにか買っていったほうがいいかなと、定番のクッキーを見つめて悩む。
すると、視線をずらしたストラップコーナーで、一際キラキラと光っているものを見つけた。
引き寄せられるように近づいて、私は雫型になっているガラスのストラップを手に取る。
「……天国の色?」
ストラップに付いていたタグの文字を読んだのは、いつの間にか私の隣に移動してきた晃だった。
雫型の中にはハーバリウムが入っていて、ピンクやオレンジ、黄色や水色のガラスストーンが散りばめられている。
天国なんて行ったことはないのに、もしも色があるのならこんな感じなのだろうと妙に惹かれた。