転生令嬢はまるっとすべてお見通し!~婚約破棄されたら、チートが開花したようです~
 ――制服。初めて見るはずなのに、俺は、この服を見たことがある気がする。

 ふたりを見ていると、胸のなかでもやもやが広がっていく。なんだ。この、昨日も感じたとてつもない違和感は。

「おっと。そろそろ時間のようだ。フィデル、そこで大人しくしておけよ。シエラも今は城の一室で拘束されている。助けがくるなんて期待は捨てておくことだ」

 エリオットとロレッタは、腕を組んで寄り添いながら、地下牢から去って行った。

 そのとき俺は、夜会の前に見た予知を鮮明に思い出した。

 ……そうだ。俺が見た爆発の予知に映っていた人間は、全員あの服を着ていた。

 まさか、燃える建物は――学園じゃないのか。俺は一度も行ったことがないから、気づくことができなかった。
 コディは、学園はまだ春休みといっていた。俺の見た予知が怒るのは一週間以内。、春休み中に、学園に人が多く訪れる日と考えたら――。

「今日……?」

 エリオットの演説で、新入生が集まると言っていた。でも、コディは新入生ではない。どうして、あの現場にあいつがいた?

 レストランの火事は、俺が見た予知とは関係なかった。偶然起きたにしては、タイミングがよすぎる。あの事件も本当に無関係なのか?
 問題点を上げていくとキリがない。だが、今言えることは、学園に近づくと危険だということ。

 もし、今日だったら……。すぐに演説を止めさせなければ。
 シエラに伝えることができれば、今ならまだシエラの能力を使って事件を回避できるかもしれない。
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