転生令嬢はまるっとすべてお見通し!~婚約破棄されたら、チートが開花したようです~
クソッ……! こんなところで、捕まっている場合じゃないってのに……!
腕の拘束を解こうともがいてみるが、鉄でできた手錠が手首に食い込み、痛みを増すだけだった。
なにもできないまま、ここで事件が起きるのを待つしかないのか。そう思ったとき、誰かがこちらに走って来る音が聞こえた。エリオットが戻ってきたのか、城の兵士が見張りにきたのか。この際誰でもいい。学園が危ないことを伝えられるのなら。
「フィデル!」
「……っお前!?」
俺の前に現れたのは――シエラだった。
額から汗を流し、ゼェゼェと荒い呼吸をしている。
「よかった……! 無事だったのね。待ってて、すぐに助けるから!」
シエラはスカートのポケットから鍵を取り出すと、簡単に地下牢の扉を開け、中に入って来た。そしてそのまま俺に飛びつくように突進してくる。
「お、おい……!」
「本当に心配したんだからっ……! よかった……!」
シエラは俺の背中に腕を回し、ぎゅうぎゅうと抱き締めてくる。俺は両手が使えないので、シエラを引きはがすこともできず、されるがままだ。
「お前こそ、無事だったんだな。それにしても、どうやってここまで来たんだ」
「どうやってって……。見張りを撒いて、鍵を奪って……。とにかく頑張ったの。フィデルのこと、絶対に助けたかったから」
あっけらかんとしているが、見張りを撒くのも、鍵を奪うのも、いくら異能者とはいえ簡単なことではない。シエラはひとりになっても尚、俺を助けるために奮闘してくれたのか。……どうして、俺のために、そこまでできる?
言いかけて、その言葉を飲み込んだ。今は、他に言うべきことがあったからだ
腕の拘束を解こうともがいてみるが、鉄でできた手錠が手首に食い込み、痛みを増すだけだった。
なにもできないまま、ここで事件が起きるのを待つしかないのか。そう思ったとき、誰かがこちらに走って来る音が聞こえた。エリオットが戻ってきたのか、城の兵士が見張りにきたのか。この際誰でもいい。学園が危ないことを伝えられるのなら。
「フィデル!」
「……っお前!?」
俺の前に現れたのは――シエラだった。
額から汗を流し、ゼェゼェと荒い呼吸をしている。
「よかった……! 無事だったのね。待ってて、すぐに助けるから!」
シエラはスカートのポケットから鍵を取り出すと、簡単に地下牢の扉を開け、中に入って来た。そしてそのまま俺に飛びつくように突進してくる。
「お、おい……!」
「本当に心配したんだからっ……! よかった……!」
シエラは俺の背中に腕を回し、ぎゅうぎゅうと抱き締めてくる。俺は両手が使えないので、シエラを引きはがすこともできず、されるがままだ。
「お前こそ、無事だったんだな。それにしても、どうやってここまで来たんだ」
「どうやってって……。見張りを撒いて、鍵を奪って……。とにかく頑張ったの。フィデルのこと、絶対に助けたかったから」
あっけらかんとしているが、見張りを撒くのも、鍵を奪うのも、いくら異能者とはいえ簡単なことではない。シエラはひとりになっても尚、俺を助けるために奮闘してくれたのか。……どうして、俺のために、そこまでできる?
言いかけて、その言葉を飲み込んだ。今は、他に言うべきことがあったからだ