転生令嬢はまるっとすべてお見通し!~婚約破棄されたら、チートが開花したようです~
「シエラ。学園が危ないんだ」
「……どういうこと?」
「さっき、エリオットとロレッタがここへ来た。そのとき、あのふたりが着ていた制服を見て思い出したんだ。俺が見た予知の中にいた人間が、同じ服を着ていたことを。つまり、事件場所は学園。俺が予知を見てから一週間以内で、人が集まる日に事件が起こる可能性が極めて高い」
俺の話を聞いたシエラは、顔を青ざめる。
「それって、今日じゃない。演説があるから、学園に新入生が集まるって言ってたもの」
「そうだ。だからすぐに学園に向かわないと、下手したら手遅れになる」
今すぐ千里眼で学園の様子を見てもらおうとしたが、シエラはなにやら思いつめた顔をして、俺のことを見ていた。
「……ねぇフィデル。ひとつ、聞いてもいい?」
「……ああ」
「〝予知能力〟で、自分や、私が捕まる未来は見えていなかったの? もし見ていたなら、どうして黙っていたの? わかっていれば、もっとうまくやれた。フィデルを地下牢になんて、絶対に行かせなかったのに」
――泣きそうになりながら言うシエラを見て、俺は、これ以上嘘をつくことを諦めた。
「……俺は、お前に嘘をついていた」
「! やっぱり、見えていたの?」
俺は首を横に振る。こうなる未来が見えていたら、俺こそ、シエラを危険な目に遭わさなかった。
「事件の予知を最後に、俺は能力を失っていたんだ」
「……え?」
信じられない、という顔をしているシエラ。俺だって、受け入れるのに時間がかかった。信じたくなかった。でも、現実は容赦なく、俺が無力だということを思い知らせる。
「……どういうこと?」
「さっき、エリオットとロレッタがここへ来た。そのとき、あのふたりが着ていた制服を見て思い出したんだ。俺が見た予知の中にいた人間が、同じ服を着ていたことを。つまり、事件場所は学園。俺が予知を見てから一週間以内で、人が集まる日に事件が起こる可能性が極めて高い」
俺の話を聞いたシエラは、顔を青ざめる。
「それって、今日じゃない。演説があるから、学園に新入生が集まるって言ってたもの」
「そうだ。だからすぐに学園に向かわないと、下手したら手遅れになる」
今すぐ千里眼で学園の様子を見てもらおうとしたが、シエラはなにやら思いつめた顔をして、俺のことを見ていた。
「……ねぇフィデル。ひとつ、聞いてもいい?」
「……ああ」
「〝予知能力〟で、自分や、私が捕まる未来は見えていなかったの? もし見ていたなら、どうして黙っていたの? わかっていれば、もっとうまくやれた。フィデルを地下牢になんて、絶対に行かせなかったのに」
――泣きそうになりながら言うシエラを見て、俺は、これ以上嘘をつくことを諦めた。
「……俺は、お前に嘘をついていた」
「! やっぱり、見えていたの?」
俺は首を横に振る。こうなる未来が見えていたら、俺こそ、シエラを危険な目に遭わさなかった。
「事件の予知を最後に、俺は能力を失っていたんだ」
「……え?」
信じられない、という顔をしているシエラ。俺だって、受け入れるのに時間がかかった。信じたくなかった。でも、現実は容赦なく、俺が無力だということを思い知らせる。